2004年11月の景気動向調査
景気DIは43.5、4カ月連続で悪化
2004年11月の景気動向指数(景気DI:0~100、50ポイントが判断の分かれ目)は43.5となり、前月比0.4ポイント減と4カ月連続で悪化。2004年5月以降は踊り場局面が続いていたが、直近での最低水準である2004年6月(43.7)を下回ったことで、足元経済の減速が鮮明となった。
また、先行き見通しDIも3カ月後、6カ月後、1年後すべてで4カ月連続の前月比悪化となった。
これらの背景には、原油価格の高止まりや外需の減速懸念などにより、企業業績や国内経済に対する不透明感が増していることが挙げられる。「原料の値上げに販売価格が追いつかない」(発泡スチロール成形品メーカー、栃木県)との声に表れているように、特に化学業界をはじめとした製造業では、原油高による悪影響を受けている企業が目立っている。
実際、政府・日銀ともに景気に対する判断・認識を下方修正。また、2004年10月の鉱工業生産指数(2000年=100)は2カ月連続して前月を下回り、7カ月ぶりに100を割り込むなど、国内経済の減速を裏付ける経済指標が相次いでいる。
こうしたなか、「為替相場が円高傾向にあり景気マインドは冷えつつある」(消音器メーカー、神奈川県)というように、米国の巨額な財政・経常赤字を背景とした急速な円高ドル安の進行に伴い、大企業を中心に景況マインドが大幅に後退。また、今年の暖冬予測に伴う繊維関連企業の業況悪化も、全体の景況感を押し下げた。
今後については、再び騰勢を強めていた原油価格は12月に入り下落しているものの、為替の動向が引き続き国内経済への懸念材料として挙げられるうえ、来年度以降の公共事業費削減に伴う業界間や地域間、規模間での景況感格差の拡大など、構造的な問題も山積している。また、定率減税の段階的廃止に向けた動きや将来の消費税率引き上げへの議論が活発化してきており、今後の消費動向にマイナスに作用するのは避けられない。先行き見通しDIの低迷が続いているのは、こうした先行きへの不安を反映したものと言える。
ただし、今回、利上げ実施後の中国経済の動向について意識調査を実施したところ、7割以上の企業が「さらなる利上げ実施でも拡大基調が持続する」と回答しており、国内経済の下支え役としての期待は依然として高い。また、大手銀行グループの中間決算で、長らく日本経済の重しだった不良債権の処理が着実に進んでいることが裏付けられた。このため、景況感が今後も悪化の一途をたどるとは考えにくいが、6カ月後の先行き見通しDIが3カ月後を下回るなど短期的な調整局面を示し、為替も対ドルでさらに円高へ振れると見られているため、しばらく弱含みの展開が続くことが予想される。