2006年11月の景気動向調査
景気DIは45.6、3カ月連続の悪化で今年最低水準
2006年11月の景気動向指数(景気DI:0~100、50ポイントが判断の分かれ目)は45.6となり、前月比0.7ポイント減と3カ月連続して悪化した。前月まで小幅にとどまっていた悪化幅も拡大し、2006年6月と7月(ともに46.0)を下回って今年最低水準を更新、国内経済がここへきて弱含んでいることが裏付けられた。
前月(10月)までの概況
- 原油価格と金利の上昇懸念の高まりに伴う企業・家計心理の悪化などにより、2006年3月(9)をピークに下落基調へ転じる
- 7月以降は原油価格が下落基調となったものの、日米の景気減速を示唆する指標が散見されるようになり、一進一退の局面となる
11月の概況
- 平年より高い気温が続いたことにより消費が盛り上がらなかったうえ、内閣府が発表した2006年7~9月期の実質GDP(速報値)で個人消費の回復遅れが鮮明となったことで、「金融」や「建設」、「小売」、「サービス」など内需関連業界を中心に景況感が後退
→ 政府は11月の月例経済報告で、個人消費の低迷を受けて景気の基調判断を1年11カ月ぶりに下方修正
- 設備投資はGDPではプラスを維持したものの、設備投資意欲DI(0)は判断の分かれ目となる50ポイントを割って推移。また、企業業績も上場企業の決算見通しで下半期の伸び悩みが鮮明となり、売り上げDIでもその傾向を示唆
→ これまで国内経済を下支えしてきた設備投資と企業業績に息切れ感が台頭
景気DIは堅調な上場企業の業績や設備投資によって下支えされてきたが、業績のさらなる拡大への期待が後退し、個人消費の脆弱さが改めて浮き彫りになったことなどから、一進一退の踊り場局面から弱含みの局面へと移りつつある。
今回の景気回復局面は11月で「いざなぎ景気」を超えて戦後最長となったと言われているが、大企業と中小企業、大都市圏と地方圏で景況感に大きな格差が生じている現状では、その実感がない企業は多い。
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