2008年11月の景気動向調査
景気DIは24.5、過去最低を記録し国内景気は後退続く
< 2008年10月までの概況 : 後退 >
2007年夏以降、サブプライム問題が表面化し外需が減速。原材料価格や生活必需品の値上がりなどで消費マインド、企業の収益環境が悪化。米リーマン・ブラザーズの破綻で金融危機が欧州に広がり円高・株安も進行し、企業業績に悪影響を与え始めた。
< 2008年11月の動向 : 後退 >
2008年11月の景気動向指数(景気DI:0~100、50が判断の分かれ目)は、前月比2.0ポイント減の24.5と9カ月連続で悪化した。これまで最低であった2003年1月(26.1)を1.6ポイント下回って、過去最低を記録した。
業界別では、全10業界が悪化した。外需の減速によって『製造』が過去最低となったほか、『小売』『建設』『不動産』などが最低となって、内需も低迷した。
地域別でも全国10地域すべてが悪化し、これまで自動車関連を中心に景気回復を牽引してきた『東海』をはじめ、『南関東』『近畿』の三大都市圏がそろって過去最低に落ち込んだ。2008年10月に続いて2カ月連続で全業界・全地域が悪化しており、国内景気は後退が続いている。
欧米金融危機が拡大し実体経済に波及 → 企業業績を圧迫し、生産・設備投資活動が後退
米国が景気後退に陥り、ユーロ圏が1999年の通貨統合以来、初の景気後退入りとなるなど金融危機が実体経済に波及してきたことで、外需が一段と減速。前月に進行した世界的な株安や円高も定着し、国内企業への影響が拡大した。
・企業業績を圧迫:金融、建設、不動産やこれまで景気回復を牽引してきた電機・自動車などの大手製造業を中心に収益の悪化が顕著となり、2008年度上半期業績の減収・減益発表や通期見通しの下方修正が相次いだ。
・生産・設備投資活動が後退:デジタル家電や自動車、鉄鋼、化学などで減産や設備投資計画の凍結・延期が相次ぎ、『製造』の生産や設備関連のDIが過去最低に落ち込んだ。
『生産・出荷量DI』(製造):過去最低の38.0(最高は2006年9月・12月 53.7 )
『設備稼働率DI』 (製造):過去最低の41.8(最高は2004年4月 54.0)
『設備投資意欲DI』(製造):過去最低の33.4(最高は2006年3月 52.4)
物価高と雇用・所得環境の悪化 → 消費者心理が一段と低下し、内需が低迷
景気後退に伴って原材料価格が急速に下落。ガソリン価格は落ち着いたが、食料品などは価格改定に至らず、雇用・所得環境が悪化するなか消費者心理が一段と低下し、『小売』『建設』『不動産』などが過去最低となるなど内需が低迷した。
< 今後の見通し : 後退 >
欧米の実体経済は悪化が続いている。アジア各国にも影響が広がっており、世界経済の先行き不透明感は強まっている。
国内では、外需の減速によって、企業の生産や設備投資活動が今後も縮小を余儀なくされるとみられる。さらに内需では、雇用環境の悪化が進み、冬のボーナスをはじめ所得の減少も避けられないことから、年末へ向かって家計の生活防衛意識は一層強まり、個人消費は弱含む可能性が高い。政府・地方自治体の中小企業支援策は、一時の下支え役とはなるものの、抜本的な解決にはつながらないことから、外需が減速し内需が低迷するなかで業況は厳しさを増していくとみられる。
先行き見通しDIは、「3カ月後」(26.4、前月比2.1ポイント減)、「6カ月後」(26.8、2.1ポイント減)、「1年後」(32.0、1.3ポイント減)と7カ月連続で3指標すべてが悪化。先行きに反転の兆しはなく、国内景気は後退が続くとみられる。