円高に対する企業の意識調査

円高対応、輸出企業の12.6%が海外生産拠点を拡充

~ 円高基調からの反転時期、4社に1社が「長期的に反転は期待できない」 ~

2010年後半から1ドル=80円台前半で推移していた為替レートは、ここにきて米欧経済の先行き不透明感の高まりなどもあり一時75円台に突入するなど、過去最高水準の円高が続いている。また、東日本大震災からの復旧・復興を果たさなければならない日本経済にとって、最近の円高は景気回復の抑制要因となることも懸念される。


そこで帝国データバンクでは、円高に対する企業の意識について調査を実施した。調査期間は2011年8月19日~31日。調査対象は全国2万2,762社で、有効回答企業数は1万1,070社(回答率48.6%)。

調査結果のポイント

  • 円高、企業の35.5%が売り上げに「悪影響」
    円高による売り上げへの影響では、「悪影響」が35.5%となったが、2010年8月調査時とほぼ同水準。企業は継続する円高に対してさまざまな努力を続けている。
  • 海外と取引を行っている企業は30.9%、うち「輸出」は56.8%
    企業の3割超が海外との取引を行っているなかで、「輸出」は56.8%、「輸入」は80.4%、「海外生産」は36.3%となった。特に、繊維や機械関連で多い。
  • 円高対策、「海外調達を増やす」が最多、輸出企業の1 割超が海外生産を拡充
    自地域からの円高への対応策では、海外と取引がある企業のうち、「海外調達を増やす」が23.4%で最多。一方、海外生産拠点を拡充・新設し、輸入の拡大で対応する企業が増加。海外流出要因、「円高」が約5割で最多。次いで「人件費が高いため」、「電力などエネルギーの供給問題」が4割近く。
  • 自国通貨価値の上昇、日本にとって「好ましくない」が67.6%
    日本全体にとって自国の通貨価値が上昇することへの好ましさでは、「好ましくない」とする企業が67.6%。家具類小売や医薬品・日用雑貨品小売の2業種で8割超に。
  • 円高基調からの反転時期、4社に1社が「長期的に反転は期待できない」
    円高基調から円安基調への反転を期待できる時期として、「長期的に期待できない」が25.8%で最多。「2011年度内」は13.0%にとどまる。
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