中国の成長鈍化に対する企業の影響調査

中国の成長鈍化、企業の25.4%が業績に「悪影響」
~ 日本企業は中国との経済活動で7つのリスクに直面 ~

はじめに

中国経済との相互依存関係が深まっている状況において、日中関係の改善に向けた動きは経済取引をより円滑にすると見込まれている。一方で、中国の経済成長が徐々に低下するなか、8月の上海株式市場の急落や為替市場における人民元の基準値切り下げにみられたように、日本経済に与える影響も懸念されている。
そこで、帝国データバンクは、中国の成長鈍化が企業に与える影響について調査を実施した。なお、本調査は、TDB景気動向調査2015年9月調査とともに行った。

  • 調査期間は2015年9月14日~9月30日、調査対象は全国2万3,257社で、有効回答企業数は1万752社(回答率46.2%)

調査結果(要旨)

  1. 中国の成長鈍化により、企業の25.4%が自社の業績に悪影響を受けると見込む。特に、中国への進出が進む『製造』『卸売』のほか、物流を担う『運輸・倉庫』でも3割台となっている
  2. 中国の成長鈍化で、企業全体の2割が売り上げの減少、1割で利益の減少に直面すると認識している。悪影響を受けると考える企業でみると、「売り上げが減少」が75.8%、「利益が減少」が42.9%。さらに、「中期的な経営計画の見直し」を考える企業も12.8%に上る
  3. 中国と経済活動を行うときのリスク、「品質管理が困難」が51.0%でトップ。以下、「安全管理意識の低さ」「反日教育」「対日抗議行動」「不透明な政策運営」が続く。すでに、中国経済とのかかわりがある企業では、「賃金水準の上昇」を大きなリスクと捉えている
  4. 中国との経済活動で日本企業は次の7つのリスクに直面する可能性。1)対日感情・安全保障リスク、2)恣意的な法律運用リスク、3)コスト上昇リスク、4)契約・商習慣リスク、5)株式・不動産バブルリスク、6)品質・安全管理リスク、7)雇用リスク
このコンテンツの著作権は株式会社帝国データバンクに帰属します。報道目的以外の利用につきましては、著作権法の範囲内でご利用いただき、私的利用を超えた複製および転載を固く禁じます。