企業の想定為替レートに関する動向調査

企業の想定為替レートは平均110円06銭
~ 企業規模が小さいほどより 円高水準を想定する傾向 ~

はじめに


海外情勢の変化により為替レートが変動するなか、かつて「有事」となればドル買いがセオリーだったが、近年では「有事の円買い」によって円高に進むケースも増えてきた。また、企業が予め想定した名目為替レートと、実際の名目為替レートに大きな差異が生じた場合には、企業業績を大きく左右することとなる。とりわけ、中小企業の想定為替レートは企業の与信にも影響を与える。


そこで、帝国データバンクは、企業の想定為替レートについて調査を実施した。本調査は、TDB景気動向調査2017年4月調査とともに行った。


  • 調査期間は2017年4月17日~30日、調査対象は全国2万3,920社で、有効回答企業数は1万29社(回答率41.9%)。なお、分析対象は想定為替レートがある企業2,787社


調査結果(要旨)

  1. 企業の2017年4月時点の想定為替レートは平均1ドル=110.06円。概ね、106~110円を想定する企業が43.2%と最も割合が高い。中央値および最頻値はともに110円
  2. 業界別にみると、『農・林・水産』(平均1ドル=108.75円)や『不動産』(同108.21円)が108円台を想定している一方、『金融』(同110.71円)と『卸売』(同110.90円)の2業界は110円台とみている
  3. 事業として間接または直接のいずれかで「輸出」を行っている企業は平均1ドル=109.85円、うち「直接輸出のみ」の企業は同108.85円を想定。他方、間接または直接に「輸入」を行っている企業は同111.15円、うち「直接輸入のみ」の企業は同112.43円
  4. 規模別では、「大企業」(平均1ドル=110.51円)、「中小企業」(同109.94円)、「小規模企業」(同109.43円)となり、規模が小さくなるほど円高水準を想定している。直接輸出のみを行っている企業では、「大企業」(同110.67円)が「小規模企業」(同108.20円)より2.47円の円高水準を想定。直接輸入のみを行っている企業では、企業規模による違いはみられない
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