法人税改革に対する企業の意識調査

賃上げは3割、設備投資は2割が実施予定
~ 改革への認知度高いほど、賃上げ・設備投資意欲高く ~

はじめに

現在、各国は法人税率の引き下げなど、税制から企業の競争力向上を支援する政策を打ち出している。政府は、働き方改革の推進や生産性向上に向けた税制改革にあたり、賃金や先進技術の投資を増やした企業に対して、負担額の軽減を図る法人税制を検討する一方、これらに消極的な企業に対する優遇措置の見直しなどの方針を掲げている。こうしたなか、20171214日、与党は平成30年度税制改正大綱を公表した。

そこで、帝国データバンクは、法人税改革に対する企業の見解について調査を実施した。本調査は、TDB景気動向調査2017年12月調査とともに行った。

  • 調査期間は2017年12月18日~2018年1月9日、調査対象は全国2万3,113社で、有効回答企業数は1万168社(回答率44.0%)

調査結果(要旨)

  1. 法人税改革への認知度、「内容を含めて知っている」企業は4.9%。「概要のみ知っている」の67.9%と合わせると72.8%となり、企業の7割超が少なくとも法人税改革の要旨を認知
  2. 今回の法人税改革を受けて、賃上げは企業の30.3%、設備投資は20.3%が「実施する(予定含む)」と回答。賃上げは従業員数6100人以下の企業で3割超、設備投資は211,000人以下の企業で2割を超える。賃上げは資本金による実施意向に差がみられるものの、設備投資は賃上げほど大きな違いが表れていない。ただし、認知度によっても実施意向に差が表れる。特に、資本金1億円以下で「内容を含めて知っている」企業では52.5%が賃上げを実施予定
  3. 法人課税制度改革で政府に求める政策は、「法人実効税率の引き下げ」が48.0%で最も高い。次いで、「法人税減税」(36.1%)が3割台、さらに「補助金や助成金の拡充」(28.2%)や「税制の簡素化」(27.7%)が続いた。他方、「法人実効税率の引き下げ」「外形標準課税の見直し」は大企業で高く、「法人事業税減税」「法人住民税減税」「法人税減税」「固定資産税の見直し」は中小企業で高かった
  4. 今回の法人税改革による日本経済活性化への寄与では、「寄与する」と回答した企業が28.6%、「寄与しない」が26.2%でほぼ二分された。ただし、「分からない」が45.3%と半数近くにのぼり、多くの企業で日本経済全体に与える影響について判断しきれていない様子がうかがえる
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