自然災害に対する企業の意識調査

自然災害への対策を進めている企業は36.9%
~ 費用面などの課題により、中小企業の対応状況は低位にとどまる ~

はじめに

2020年は、九州地方や中部地方を中心とした「令和2年7月豪雨」や、台風9号・10号などにより各地でさまざまな被害が発生した。自然災害に対して、政府は2018年度に「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」を策定するなど、国土強靭化に力を入れている。また、企業においても、企業防災や地域社会の一員としての考え方など、さまざまな観点からの取り組みが求められている。

そこで、帝国データバンクは、自然災害に対する企業の見解について調査を実施した。本調査は、TDB景気動向調査2020年10月調査とともに行った。

  • 調査期間は2020年10月19日~31日、調査対象は全国2万3,695社で、有効回答企業数は1万1,448社(回答率48.3%)。自然災害に関する調査は、2019年11月に続いて今回で2回目

調査結果(要旨)

  1. 自然災害の対応状況について、「対応を進めている」企業は36.9%となり、「対応を進めていない」は59.1%だった。企業の約6割が自然災害への対応を進めていない一方で、進めている企業の割合は201911月調査から9.9ポイント増加しており、対応状況の向上がうかがえた
  2. 自然災害への対応を進めている企業を規模別でみると、大企業の54.9%が「対応を進めている」一方で、中小企業は33.0%、小規模企業は25.7%と大きく差が開いている。とりわけ、小規模企業では69.5%が対応を進めていない結果となった。都道府県別でみると、「高知」「宮崎」がともに47.7%でトップ。また、太平洋側に位置する地域において割合が高い
  3. 自社が最も警戒している自然災害は、「地震」が55.0%で最も高い。次いで、豪雨や洪水などの「水害」(19.5)、台風や竜巻などの「風害」(9.1)が続いた。地震では南関東や東海地方が特に割合が高いなど、各項目それぞれで地域差が表れている
  4. 自然災害への対策(企業防災)としての取り組みでは、「社内連絡網の整備」(61.5)がトップとなった(複数回答、以下同)。また、「非常時向けの備品の購入」(45.4)、「飲料水、非常食などの備蓄」(42.8)4割超で高い。一方で、自治体や地域内の他企業、地域住民との連携などに関する取り組みでは、低水準にとどまった
  5. 自然災害への対応で苦労することでは、「設備の故障」(38.4)が最も高く、「費用の確保」(36.6)、「取引先との対応」(34.2)が続いている(複数回答、以下同)。規模別では、大企業では「人材の確保」や「情報システムのバックアップ」で割合が高い。一方で、中小企業では「費用の確保」が大企業を大幅に上回り、苦労している様子が色濃く表れている
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