人手不足に対する企業の動向調査(2021年1月)

2度目の緊急事態宣言を受け人手不足割合は減少
~ 「旅館・ホテル」の人手不足割合は5.3%で過去最低を記録 ~

はじめに

国内景気は、新型コロナウイルスの感染再拡大により2度目の緊急事態宣言が発出されるなど、先行き不透明な状態が続いている。そうしたなか雇用への懸念も強く、春闘ではこれまで賃上げ要求が続いていたものの、2021年度は雇用維持を目的に見送る動きもみられる。厚生労働省が発表している新型コロナウイルスの影響による解雇やその見込みがある労働者数も増加し続けており、今後も動向が注目される。

そこで、帝国データバンクは人手不足に対する企業の見解について調査を実施した。本調査は、TDB景気動向調査2021年1月調査とともに行った。

  • 調査期間は2021年1月18日~31日、調査対象は全国2万3,695社で、有効回答企業数は1万1,441社(回答率48.3%)。なお、雇用の過不足状況に関する調査は2006年5月より毎月実施しており、今回は2021年1月の結果をもとに取りまとめた。

調査結果(要旨)

  1. 正社員が不足している企業は35.9%(前年同月比13.6ポイント減)となった。1月としては2014年(36.6%)とほぼ同水準となった。月次でみると、2020年12月までは緩やかに上昇傾向だったものの、2度目の緊急事態宣言が発出された影響もあり2021年1月は再び減少した。業種別では、「放送」(56.3%)が最も高く、国土強靭化対策などにより公共工事が好調な「建設」(54.6%)や、IT人材の不足が続く「情報サービス」(53.3%)などで人手不足が目立つ
  2. 非正社員では、企業の19.1%(前年同月比10.1ポイント減)で人手が不足しており、1月としては8年ぶりに2割を下回った。業種別では、スーパーマーケットなどを含む「各種商品小売」が52.0%でトップとなった。さらに、リモート需要の高まりで「電気通信」(42.9%)の割合も高く、51業種のなかで唯一、前年同月比増加となった
  3. 「飲食店」と「旅館・ホテル」の動向を月次でみると、ともに人手不足割合は大幅な減少傾向にある。2度目の緊急事態宣言の発出や「Go To キャンペーン」の一時停止も加わり、2021年1月にかけてさらに減少している。特に「旅館・ホテル」は正社員の人手不足割合は5.3%となり、2006年5月からの調査開始以来、過去最低となった
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