DX推進に関する企業の意識調査

DXを理解し取り組んでいる企業は15.7%と7社に1社
~半数の企業で、人材やスキル・ノウハウの不足がDXの課題に~

人工知能(AI)の進化や第5世代移動通信システム(5G)といったデジタル技術の進展によって、ビジネス環境が大きく変わろうとしている。企業は今後、データとデジタル技術を活用した製品や、サービス・ビジネスモデルの変革によって競争上の優位性を確立させる「デジタル・トランスフォーメーション(以下、DX)」の実現を求められる。また、政府は2021年9月にデジタル庁を発足。社会全体のDXの推進を通じ、デジタル時代の官民インフラ作成を目指すとしている。

そこで帝国データバンクは企業のDX推進に関する調査を実施した。

  • 調査期間は2021年12月16日~2022年1月5日、調査対象は全国2万3,826社で、有効回答企業数は1万769社(回答率45.2%)


DXへの理解と取り組み
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調査結果


  1. DXに取り組む企業は15.7%と7社に1社。一方、半数超の企業では取り組みが進まず


    DXについて、どの程度理解し取り組んでいるかを尋ねたところ、DXの「言葉の意味を理解し、取り組んでいる」企業は15.7%と7社中1社となった。「意味を理解し取り組みたいと思っている」(25.7%)とあわせて4割でDXへの取り組みを前向きに捉えている。他方、「言葉の意味を理解しているが、取り組んでいない」(31.6%)、「言葉は知っているが意味を理解できない」(13.3%)、「言葉も知らない」(6.4%)など、半数超ではDXへの取り組みが進んでいない状況にある。

    企業規模別にみると、「言葉の意味を理解し、取り組んでいる」企業の割合は「大企業」が28.6%と全体(15.7%)を大きく上回っている。一方で「中小企業」は13.0%となり、DXへの取り組み状況は「大企業」と「中小企業」の間で15.6ポイントの差がみられた。さらに「中小企業」のうち「小規模企業」は8.4%と1割を下回った。

    また、業界別にみるとフィンテック(FinTech)の活用が活発になってきている『金融』(25.2%)や、ソフト受託開発など企業のDXを支援する「情報サービス」などを含む『サービス』(24.1%)で高い割合となった。一方、『建設』(11.4%)や『農・林・水産』(12.3%)といった業種では、DXに取り組んでいる企業は低い割合にとどまっている。

  2. DXの「言葉の意味を理解し、取り組んでいる」企業の割合 ~規模別、業界別~
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  3. DXに取り組んでいる企業では、3社に1社で本格的なDXが進む


    DXの「言葉の意味を理解し、取り組んでいる」企業が現在取り組んでいる内容では、「オンライン会議設備の導入」(82.7%)や「ペーパーレス化」(77.6%)、「テレワークなどリモート設備の導入」(69.5%)といった、DXの初期段階に関する取り組みのいずれかが企業の97.0%で実施されていた。また、「既存製品・サービスの高付加価値化」や「新規製品・サービスの創出」、「ビジネスモデルの変革」といった本格的なDXに取り組む企業は37.4%と3社に1社となった。

    また、現在取り組んでいる企業においては、「デジタル化への対応にともなう業務プロセス・組織の見直し」(39.2%)、「DX推進のための予算の確保」(29.1%)など組織面・予算面での取り組みを推進する企業も多い。さらに、「デジタル人材の育成」(27.4%)や「デジタル人材の採用」(19.0%)といった、デジタル人材の確保に関する取り組みもあげられている。

    一方で、「AI活用(チャットボットによる自動化やビッグデータ分析等)」(11.2%)など、AIの活用やビッグデータ分析などの取り組みは1割程度にとどまっている。

  4. DXに取り組む企業が現在取り組んでいる内容(複数回答)
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  5. 半数の企業で、人材やスキル・ノウハウの不足がDXの課題にあげられる


    DXに取り組むうえでの課題では、「対応できる人材がいない」(50.6%)や「必要なスキルやノウハウがない」(47.7%)など、半数の企業で人材やスキル・ノウハウの不足に関する課題があげられた。すでにDXの「言葉の意味を理解し、取り組んでいる」企業でも、「対応できる人材がいない」は36.0%、「必要なスキルやノウハウがない」は32.7%と3社に1社で課題となっている。

    また、現在DXに取り組んでいない企業[1]においては、「対応できる人材がいない」(54.7%)や「必要なスキルやノウハウがない」(52.5%)、「対応する費用が確保できない」(28.3%)、「どこから手を付けて良いか分からない」(17.5%)といった項目で、取り組んでいる企業と大きな差がみられている。

  6. DXに取り組む上での課題~取り組み状況別~(複数回答)
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DXについて、「言葉の意味を理解し、取り組んでいる」企業は15.7%と7社に1社程度となった。また、「言葉の意味を理解し、取り組んでいる」企業において、現在取り組んでいる項目では、「オンライン会議設備の導入」や「ペーパーレス化」、「テレワークなどリモート設備の導入」といったDXの初期段階での取り組みはほとんどの企業で実施されている。一方、「既存製品・サービスの高付加価値化」や「新規製品・サービスの創出」、「ビジネスモデルの変革」といった本格的なDXに取り組む企業は37.4%と3社に1社となった。

また、DXに取り組む上での課題では、その取り組み状況に関わらず、「対応できる人材がいない」や「必要なスキルやノウハウがない」といった、人材やスキル・ノウハウの不足に関する課題が多くの企業からあげられている。

既存のシステムが、事業部門ごとに構築されて全社横断的なデータ活用ができない、または、過剰なカスタマイズがなされて複雑化・ブラックボックス化しているなど、そうした要因で2025年までにDXが進まなかった場合、経済産業省は最大で年間12兆円の経済損失が生じる可能性を指摘している[2]。2025年の崖が目下に迫るなか、企業はDXの推進を通じて、どのようにビジネスモデルを変革していくか、改めて確認する必要があろう。

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[1] 現在DXに取り組んでいない企業は、「言葉の意味を理解し、取り組みたいと思っている」「言葉の意味を理解しているが、取り組んでいない」「言葉は知っているが意味を理解できない」「言葉も知らない」の合計

[2] 経済産業省「DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~」



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TEL:03-5919-9344
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